ォォォォォ RSS

tumblog by sembo via world by script

Archive

Jun
16th
Tue
permalink

ジャパノイズ

今電車が田町を通過しようとしている。すべてが巨大化、高速化したこの東京という街。電車も、たった5年前と比べても10倍の質量と速度に進化している。もはや田町は電車が止まれる大きさではなくなり、田町をすぎたあたりで止まると、ちょうど真ん中の車両が東京駅にくっついた。工業技術の淀み無き発達によって、スケールとスピードは、とどまるところ無いインフレーションを起こしていたが、人間はというと逆に小型化が進んでいた。食物のサイズが巨大化しても栄養素は増えなかったので、食べても食べても太ることはなくなり、あわてた厚生省は、「腹20分目キャンぺ~ん」と称して国民に食べるだけ食べさせて肉体を維持し国力を保とうとしていた。今やモテるのは太った男女になり、街中に巨大なふとった男女のポスターが溢れていた。

ポスターは巨大化したが、人間は縮小しているので、ポスターを貼る仕事が一大事になった。一枚のポスターを貼る度に数人が犠牲になった。いまや抱かれたい男ナンバーワンの「キムタケ」のポスターは東東京を覆い尽くすサイズになり、その施工に3世代にわたる仕事が発生し、数百人の犠牲者が出た。既にその頃には人間はサイズだけでなく寿命までも短くなっていた。9歳で成人し、10歳にはほぼ死んでいた。成人した直後の1年の間に、出来る限りの遊びと贅を尽くし、ぽっくり逝くのが美学とされていた。そしてその時の狂乱が日本の夏を彩る風物詩となった。

それは世界から「ジャパノイズ」と呼ばれ、絶賛された。